介護職は生産性の無い職業なのか2
どうもこんにちは、しんのすけです。今回も前回に引き続き「介護職は生産性の無い職業なのか」について綴って行きたいと思います。 まず生産性についての定義なんですがこの記事では「社会に対して富をどのぐらい生み出せるかの能力(性質?)」としたいと思います。この生産性の定義だと確かに介護職は生産性の無い業界となります。介護報酬という性質上いくら質の高いサービスを提供しようが、運営努力をしようが単位報酬は変わりません。また主に高齢者を援助する職業ですから、そこにお金や比較的若い労働者など社会の貴重なリソースを割くことから、当然社会に富を生み出すことはありません。
しかしこれは介護職をミクロ的な視点(狭い範囲)で見てしまうと、上記のような考えになってしまうのですが、自分はこれについてはもっとマクロ的な視点(広い範囲)で物事を捉える必要があると考えております。前回最後に介護福祉業がないと社会全体として、生産性有る無しの問題では済まなくなる。と結論付けました。これについては少し想像すれば分かることではあるのですが、もう少し深堀して行きたいと思います。
社会保障とは
介護福祉業は皆さんご存じの通り、社会保険の一部である介護保険の枠組みで運営されています。言い換えますと社会保障の一部です。社会保険には介護保険以外に年金、医療、雇用、労災があります。大きく分けると5つですが、社会保障という枠組みには子育て支援、公的扶助(生活保護)、公衆衛生なども含まれており、まさに「ゆりかごから墓場まで」の言葉のように我々の人生に密接に関わりがあります。そんな我々に密接のある社会保障ですが、そもそも社会保障の役割とはなんでしょうか?様々な書籍やサイトで解説がありますが、極端に要約すると「社会の安定と発展を支える重要な機能」となります。社会の安定に関しては、恐らくイメージ通りかと思います。生活を送る上で病気やケガなど様々なリスクがある中で、それに対する救済措置がないと社会が不安定になるのは容易に想像はつくでしょう。問題は社会保障には同じく重要な枠割として、社会の発展を支える機能を持っている点です。こちらはあまり福祉業に限らず、普通に生活を送る上ではあまりなじみが無いかも知れません。中学、高校の授業では「社会(国家運営)の発展を支える役割がある」とはまず習いませんし、現実には社会保障というと年金やら健康保険料やらでどうしても自身で多かれ少なかれ負担をするというマイナスなイメージがあるかと思います。
社会保障(セーフティネット)があるからより高く跳べる
マイナスなイメージがある社会保障ではありますが、今現在日本の社会保障は超巨大市場規模に変容してます。福祉医療保育には施設や設備が必要であり、それに関連する企業は非常に多岐に渡ります。そこに当然多くの働き手が必要なわけですから雇用創出の面でも経済に大きな影響を与えています。分かり易く金額で表すと、ここ最近の3年は社会保障費用として毎年100兆円のお金が動いております。介護保険給付費単体でも見ても毎年10兆円を超える予算が介護保険市場に投下されており、さらに2025年問題もありますから、さらに市場規模が拡大されるものと思われます。
金額が多ければ良いという話ではありませんが、介護福祉業に携わっている我々は日本の経済に影響を与えていることは間違いないと思って良いでしょう。
少し話は変わりますが、昨今の報道等で社会保障費の増大が問題視されているのを見かけます。国家運営費の半分近く占め、そこに社会保険料で徴収した予算以外に税金や借金(国債)を投入している訳ですから当然といえば当然なのですが、しかし国は社会保障費の予算を拡大させ続けています。推測ではありますが、恐らく国(もしくは政府)は借金を増大させてまでも社会保障費を増やす方が国家運営の点で価値があると判断してるのだと思います。それは社会保障のセーフティネットとしての枠割を重要視してのことです。社会保障と同義としてセーフティネットという単語が使われますが、語源はサーカス用語です。綱渡りや空中ブランコで使われる安全網のことで、これを使用することで演者は失敗を恐れることなく、より大胆な演技に集中し、空中ブランコではこの網があることに安心してより高く跳べる事ができます。社会保障の理念もこれに通じてます。私たちが生きる上で様々なリスクがありながらも安心して生活を送れる仕組みがある。だからこそより豊かになろうと色々なことに挑戦出来る。仮に失敗しても再起を図れる仕組みがある。だからこそより他の可能性を求めて豊かな人生を再度求めることが出来る。結果として国全体として豊になることが出来る。日本での社会保障創設時に携わった先人の方達はこうした「社会の安定と発展」を目的とし、手段として社会保障の仕組みを作り出し、こうした理念があるからこそ今現在の国(政府)は容易に社会保障費の縮小はなかなか手が出せないことでしょう。
理想と現実
社会保障の役割や理念について綴ってきましたが、上記まではあくまでも理想であり今の日本の現状としては社会保障費は増大してるものの決して豊かな国にはなっていないのはもう周知の事実です。日経平均の成長率も他国と比較してここ20年横ばいですし、国民の給与所得も増えるどころかむしろ短期(2010年代)でみると減っています。給与は増えていないのに、あらゆる製品の物価は上昇し国民の生活を苦しめています。とても今の日本は豊とは言えない現状です。こうなってしまった原因はさまざまですが、一番は少子高齢化といっても異論ないでしょう。
次回はなぜ日本は少子高齢化社会になってしまったのか、この国を再度復活させる方法あるのかについて綴って行きたいと思います。またケアマネ試験対策記事の今月中からスタートさせる予定でいますのでよろしくお願いします。
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